師の作品に触れて
観る人から作る人へ
鎮西窯は唐津では最も新しい窯元のひとつ。主の安永頼山氏は島根県の生まれですが、唐津焼に惹かれて陶芸家を志し、30歳の時に唐津へやってきました。 それまで安永氏は美術鑑賞が好きな普通の会社員だったそうですが、ある展覧会で観た田中佐次郎氏の唐津焼に衝撃を受けたといいます。「ずっと古唐津が好きで観て楽しんでいたんですが、先生の作品にはそうした名品に近い力や雰囲気があったんです。現代にもそんな焼物を作る方がいることにまず感動して、その後窯を訪ねたりしているうちに、自分も作ってみたいと思うようになったんです」古唐津の伝統を
現代の感覚で表現
安永氏の作る唐津焼は、古唐津の雰囲気を色濃く映すもの。400年前と同じように岸岳の土や蹴ろくろや、登り窯を用いて、現代への再現を目指しています。「古い素晴らしい焼物をずっと観てきたので、今の時代の陶工として、その歴史に続く者になりたいですね」と、控えめな口調の中にも熱い想いが伝わってきました。