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古唐津の里に現れた
気鋭の若手作家



 安永 頼山 Yasunaga Raizan

  唐津市北波多大杉1129-4
  TEL:0955-64-2830(※要連絡)

師の作品に触れて

観る人から作る人へ

 鎮西窯は唐津では最も新しい窯元のひとつ。主の安永頼山氏は島根県の生まれですが、唐津焼に惹かれて陶芸家を志し、30歳の時に唐津へやってきました。 それまで安永氏は美術鑑賞が好きな普通の会社員だったそうですが、ある展覧会で観た田中佐次郎氏の唐津焼に衝撃を受けたといいます。「ずっと古唐津が好きで観て楽しんでいたんですが、先生の作品にはそうした名品に近い力や雰囲気があったんです。現代にもそんな焼物を作る方がいることにまず感動して、その後窯を訪ねたりしているうちに、自分も作ってみたいと思うようになったんです」

 陶芸家への転身を決意した安永氏は、佐次郎窯(唐津市浜玉町山瀬)で2年間修行を積み、さらに土平窯の藤ノ木土平氏に3年間師事した後、独立して北波多大杉に窯を開きました。


古唐津の伝統を

現代の感覚で表現

 安永氏の作る唐津焼は、古唐津の雰囲気を色濃く映すもの。400年前と同じように岸岳の土や蹴ろくろや、登り窯を用いて、現代への再現を目指しています。「古い素晴らしい焼物をずっと観てきたので、今の時代の陶工として、その歴史に続く者になりたいですね」と、控えめな口調の中にも熱い想いが伝わってきました。

 独立してまだ7年目ながら安永氏の作品は愛好家の間で評価が高まり、最近続々と出てきた若手作家の中でも特に注目を集めています。現在の販売先は百貨店やギャラリーでの個展が中心ですが、唐津市北波多の「草伝社」や鎮西窯展示室でも手にとることができます。古唐津の再現に迫る若手陶工の存在は、北波多の地に新しい風を興し、近年高まっている唐津焼の評価をさらに押し上げてくれることでしょう。

昔のままの蹴ろくろが作品に深みを与えます。

独特の土肌がわかる高台。玉状に垂れた釉薬が味わいとなった一作。