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移りゆく時代に合わせ
使いやすい焼物を


 中嶋 紀文 Nakashima Toshifumi

  唐津市北波多岸山375-29
  TEL:0955-64-2749(※要連絡)

発祥の地でも

土にはこだわらない

 北波多に窯を開いて40年近いというベテランの中嶋氏は、この世界の人には珍しく「こだわりは何も無いですよ」と笑う柔らかな感性の持ち主。御用窯があった唐津市町田の瓦屋に生まれ、幼少期から陶芸に馴染んでいたこともあり、自然に焼物の道を志したそうです。椎の峰中里窯、窯業試験場で井上萬二氏、太閤三ノ丸窯で江口宗山氏らに師事した後、「唐津焼をするなら発祥の地がいい」と北波多にやってきました。

 やはり土に魅力があったのかと思い尋ねると「僕は土にこだわりませんよ」と意外な返事。岸岳に生まれた唐津焼は、その後伊万里や武雄、長崎などに広がったため、数的には岸岳以外の土で焼かれたものが多いとのこと。ゆえに岸岳周辺の土にこだわることは、唐津焼本来の姿ではないというのが中嶋氏の持論のようです。


変わってこそ

伝統は守られる

 代わりに中嶋氏がこだわるのは「唐津焼伝統の技法を守りながら、現代の生活様式にマッチした焼物をつくる」ということ。「創生期の唐津が灰釉から斑、朝鮮、絵唐津、粉引へと技法が変わっていったように、私たちも時代に合わせて変わらなければいけません」と語ります。

 中嶋氏の作る焼物は総じて土味が抑えられ、さらりとした磁器のような佇まいの生活器が中心。唐津には珍しくカラフルな色彩も用いられ、女性が好みそうな物が多く見受けられます。「やはり焼物を選ぶのは女性が主ですから、自然とそうなります。ことさら自分を出す必要は無い。手軽に食卓で使っていただけるのが一番です」と笑う中嶋氏。古唐津の故郷で伝統を知り尽くし、その上で行き着いた境地なのでしょう。作品は工房展示室のほか、唐津駅前の「ふるさと会館アルピノ」「岸岳ふるさと館」などで購入できます。