古唐津と出会い
北波多の地へ
大杉皿屋窯の主・大橋裕氏は唐津市呉服町の生まれ。少年時代に近所の陶芸家に勧められるまま般若の面を作り、風呂窯で焼いたところ、出来栄えを褒められたのがきっかけで焼物に興味を持ちました。 やがて23歳の時に細工物を得意としていた中野陶痴氏に弟子入り。最初は彫塑を学んでいましたが、研究のため古窯跡を訪ねてまわるうちに、古唐津の魅力にとりつかれたそうです。 特に北波多の土に心を惹かれた大橋氏は、その後さらに修行の後、憧れの北波多に窯を開きました。時に大胆な作風で
後継者育成にも尽力
そうして手間をかけた土で器を作り、窯に入れても「なかなか思ったようにはいかない。本当にいい具合に焼けるのはわずか数点です」とのこと。それでも土と炎が作り出す偶然の魅力は、今も大橋氏をとらえて離しません。常に真剣に土と向き合う大橋氏の作品は自然から着想を得たものが多く、使う人の心にしっとりと馴染みます。一方で、大胆な表現の大物や現代アートを思わせるオブジェなど、自由な発想の作品も各方面で高い評価を受けています。